休職と退職、どっちがいい?状況ごとの見分け方

休職と退職 アイキャッチ画像(クリーム背景に水彩風のブリーフケースと休止記号アイコン) 選択

今の仕事を続けるのがつらいと感じたとき、多くの人が「休職」と「退職」のどちらを選ぶべきか迷います。結論から言うと、この選択は「つらさの大きさ」だけでは決まらず、つらさの原因が心身の状態そのものにあるのか、それとも仕事内容や職場環境そのものにあるのかという区別でほぼ方向が定まります。ここを曖昧にしたまま勢いで退職を選ぶと、後になって「休職して回復を待つ選択肢もあった」と気づくケースもあります。この記事では両者の違いを整理し、3つの基準で切り分けたうえで、「こういう場合は休職・こういう場合は退職」という形まで落とし込みます。

休職と退職は、そもそも何が違うのか?

この2つは、雇用契約が続くかどうかと、元の職場に戻れる余地が残るかという2つの層で違いが出ます。先に一覧にします。

比較の観点 A:休職 B:退職
雇用契約の状態 契約は継続したまま、一定期間仕事を休む 契約そのものを終了させる
収入の扱い 就業規則や傷病手当金の要件次第で一定の収入を得られる場合がある 退職後は給与が発生せず、失業給付等の別制度に切り替わる
社会保険の継続 会社の健康保険・厚生年金に加入したままの場合が多い 手続きにより国民健康保険・国民年金等へ切り替えが必要になる
元の職場に戻れるか 期間満了後、原則として元の職場に復帰する前提の制度 同じ職場には戻らない前提の選択
期間の区切り 就業規則で定められた期間内という区切りがある 区切りはなく、次の行動を自分で決める必要がある
元に戻せるか(選択のやり直しやすさ) 復帰しても状況が変わらなければ、その後に退職を検討する余地が残る いったん退職すると、同じ条件での復帰は基本的にできない

表の中で特に見ておきたいのが、「元に戻せるか」の行です。休職は復帰後に改めて退職を検討する余地が残る一方、退職は後戻りができない決断です。迷いが残っている段階でいきなり退職を選ぶより先に、休職という選択肢が制度上あるかどうかを確認しておくことをおすすめします。

休職と退職、どちらを選ぶかを決める3つの基準

次の3つを順番に確認してください。基準1が最初に来るのは、ここでほぼ方向が決まる場合が多いためです。

基準1:つらさの原因が、心身の状態そのものにあるか

医師の診断や自身の実感として、心身の状態そのものが理由で今の働き方を続けるのが難しい場合は、まず休職を検討する余地が大きくなります。休職は状態の回復を前提とした制度であるためです。一方、原因が仕事内容や職場の人間関係、会社の方針そのものにあり、心身の状態を離れても「この会社では働き続けたくない」という結論が変わらないのであれば、退職に近づきます。ここが最も判定力の高い基準です。

基準2:収入・社会保険を、今の会社に紐づけたまま維持する必要が高いか

傷病手当金や会社の健康保険・厚生年金など、今の雇用契約に紐づく制度を維持する必要性が高いのであれば休職が選びやすくなります。逆に、退職後の生活設計がすでに整っている、あるいは今の会社に紐づく制度に依存していないのであれば、退職という選択の障壁は相対的に小さくなります。

基準3:一定期間を置くことで、状況が変わる見込みがあるか

休職期間中に治療や環境の調整が進み、状況が変わる見込みがあるのであれば休職が向いています。一方、時間を置いても職場側の状況(人員体制・方針・人間関係の構造)が変わる見込みが薄いと判断できる場合は、休職を挟んでも同じ結論に至る可能性が高く、退職を検討する理由になります。

3つの基準で見る、休職が向いている人・退職が向いている人

休職(A)が向いているのは、次のような場合です。

  • つらさの原因が、心身の状態そのものにある
  • 収入・社会保険を今の会社に紐づけたまま維持する必要が高い
  • 一定期間を置くことで状況が変わる見込みがある
  • 会社の休職制度・傷病手当金の要件を確認できていない

退職(B)が向いているのは、次のような場合です。

  • つらさの原因が、仕事内容や職場環境そのものにある
  • 今の会社に紐づく収入・社会保険への依存度が低い
  • 時間を置いても状況が変わる見込みが薄いと判断できる
  • 次の行動(転職活動・別の働き方)に進む意思が固まっている
基準1:原因は心身の状態そのものか仕事・環境が原因心身の状態が原因基準2:収入・保険の維持は必要か必要度が低い必要度が高い基準3:時間を置けば状況は変わるか見込みが薄い見込みがあるB:退職を検討A:休職を検討A:休職を検討A:休職を検討
3つの基準による判定の順序。基準1・基準2・基準3の順に確認する。

基準が割れた場合(例:基準1は心身の状態が原因で休職寄り、基準3は状況が変わる見込みが薄く退職寄り)は、基準1を優先することをおすすめします。心身の状態は本人の意思だけで変えられるものではなく、無理をして仕事を続けること自体がリスクになり得るためです。一方で職場の状況が変わるかどうかは、時間を置いて見極める余地が残る部分です。まず心身の状態を基準に判断し、そのうえで基準2・基準3で最終判断する順番が安全です。

休職か退職かを決める前に、先にやっておくこと

  • 今の会社の就業規則で、休職制度の有無・対象条件・期間の上限を確認する。基準1で心身の状態が理由に当てはまる場合、この確認が最初のステップになります
  • 医療機関を受診している場合は、今の状態について医師に相談し、診断書等の要否を確認しておく
  • 傷病手当金など、収入を補う制度の受給要件を、加入している健康保険の窓口で具体的に確認しておく
  • 人事・労務の窓口、または社外の相談窓口(産業医・労働局の相談窓口等)に、今の状況を一度相談してみる

よくある質問

Q. 休職してから、やはり退職することはできますか。

A. 制度上は可能な場合が多いですが、具体的な手続きは就業規則や会社ごとに異なるため一律には言えません。休職期間中や復帰後に退職を検討する場合は、その時点で改めて人事・労務の窓口に確認することをおすすめします。

Q. 休職中の収入は、どのくらい補われますか。

A. 会社の制度や加入している健康保険の傷病手当金の要件によって金額・期間が異なるため、一律の金額は言えません。加入している健康保険の窓口で、自分のケースに当てはまる要件を具体的に確認することをおすすめします。

Q. 基準1で「心身の状態が原因」と分かりましたが、それでも退職を考えてしまいます。

A. その場合も、まずは休職という選択肢を検討したうえで判断することをおすすめします。心身の状態が理由のときに勢いで退職を選ぶと、回復後に振り返って選択肢が狭かったと感じる場合があるためです。医師や産業医など専門家に相談しながら進めることをおすすめします。

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執筆者情報

本記事は、選択コラム(複数の選択肢を比較して決めたい読者に向けた記事)の執筆方針に基づき、断定的な結論や効果の保証を避け、読者自身が判断基準を持てるようになることを目的として執筆しています。実在の監修者は現時点でいないため、執筆方針の明記のみを行っています。また、個人の体験談を結論の断定材料として用いていません。休職制度・傷病手当金の要件は会社・健康保険組合によって異なるため一律には言えず、実際の判断にあたっては就業規則の確認や、医師・産業医・人事労務の窓口など専門家への相談をおすすめします。

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