契約社員と正社員の両方で内定や契約の提案を受けたとき、何を基準に決めればよいか迷うことは少なくありません。結論から言うと、どちらを選ぶかは給与の額だけでは決まらず、働き方に期間の区切りを置きたいかどうかによって向き不向きが分かれる傾向があります。この記事では両者の違いを整理し、3つの基準で切り分けたうえで、「こういう場合は契約社員・こういう場合は正社員」という形まで落とし込みます。
契約社員と正社員は、そもそも何が違うのか?
2つの選択肢は「どちらが良い待遇か」ではなく、雇用の期間と、会社から求められる役割の範囲が違います。
雇用期間の有無と、更新の仕組み
契約社員は、契約書に定められた期間(数か月から1年程度の場合が多いとされます)ごとに契約を更新する形で働きます。更新がない場合は契約満了として雇用関係が終了します。正社員は雇用期間を定めない契約であるため、会社側から一方的に雇用関係を終了させることについて、契約社員よりも制約が大きいとされます。
任せられる業務の範囲と、異動・転勤の有無
契約社員は、契約時にあらかじめ決められた業務の範囲内で働くことが多く、部署異動や転勤を伴う配置転換の対象になりにくい傾向があります。正社員は、会社の判断で部署異動や転勤を求められる場合があり、担当する業務の範囲も契約社員より広く設定されることが多いとされます。
| 比較の観点 | A:契約社員 | B:正社員 |
|---|---|---|
| 雇用期間 | 契約期間が定められている | 期間を定めない契約が一般的 |
| 業務範囲 | あらかじめ決められた範囲内 | 会社の判断で広がる場合がある |
| 異動・転勤 | 対象になりにくい傾向 | 対象になる場合がある |
| 昇給・ボーナス | 契約条件によって定められる | 評価制度に基づき見直されることが多い |
| 契約の継続 | 更新されない場合は終了する | 継続を前提とした関係になる |
| 将来の見通し | 無期転換ルール等の条件を要確認 | 長期の人事計画に含まれることが多い |
表のとおり、Aは「決められた範囲で働く代わりに、契約期間という区切りを抱える」選択肢、Bは「会社から求められる範囲が広がる代わりに、継続した関係を前提にできる」選択肢です。比較すべきなのは給与の高低だけではなく、働き方に期間の区切りを置きたいかどうかです。
契約社員と正社員、どちらを選ぶかを決める3つの基準
次の3つを順に確認すると、どちらへ寄るかが判定しやすくなります。
基準1:今の生活の中で、期間を区切って働く必要があるか
最も判定力の高い基準です。育児や学業、資格取得の勉強などと両立しながら、期間を区切って働きたい事情があるなら契約社員(A)へ寄ります。期間を区切る事情が特になく、長期的に同じ会社で積み上げていきたいと考えているなら正社員(B)が候補に入ります。
基準2:業務の範囲が広がることを、前向きに受け止められるか
部署異動や転勤を伴う可能性を受け入れられるかどうかで、向き不向きが分かれます。担当する業務をあらかじめ決められた範囲にとどめたいならA、状況に応じて業務の範囲が広がっていく働き方を望むならBが生きます。
基準3:契約条件を、どこまで確認できているか
契約社員として働く場合は、契約が何年続くと無期転換ルールの対象になるか、更新の基準がどうなっているかを確認できているかが基準になります。条件が言葉になっていない段階で決めてしまうと、更新の見通しが立てにくくなることがあります。
3つの基準で見る、契約社員が向いている人・正社員が向いている人
契約社員(A)が向いているのは、次のような場合です
- 育児・学業・資格取得などと両立するために、期間を区切って働きたい事情がある
- 担当する業務の範囲を、契約で決められた範囲にとどめたい
- 転勤や部署異動を伴う働き方は、今の生活状況では避けたい
- 契約条件(更新の有無・無期転換ルール)を確認し、内容に納得できている
正社員(B)が向いているのは、次のような場合です
- 同じ会社で長期的に積み上げていきたいと考えている
- 部署異動や転勤の可能性を、ある程度受け入れられる
- 業務の範囲が契約で区切られるより、状況に応じて広がる働き方を望んでいる
- 評価や昇給の仕組みが整った環境で、継続的に働きたい
基準が割れた場合の決め方
基準が割れた場合は、基準1(期間を区切る必要があるか)の答えを優先することをおすすめします。 基準2の業務範囲への向き合い方は、実際に働きながら調整できる余地が残ります。基準3の契約条件も、入社前の確認で見通しを立てられます。一方、育児や学業などの事情で期間を区切る必要があるかどうかは、今の生活状況から変えにくいことが多いためです。
契約社員か正社員かを決める前に、先にやっておくこと
- 求人票や契約書で、契約期間・更新の条件・無期転換ルールの有無を確認する。基準3はこの情報がないと判定できません
- 担当する業務の範囲が、求人票の記載とどこまで一致するかを面談の場で確認する
- 転勤や部署異動の可能性について、会社側からどのような説明があるかを聞く
- 今の生活の中で、期間を区切った働き方がどの程度必要かを書き出しておく。基準1の判定はこの整理がないと進みません
よくある質問
Q. 契約社員から正社員になることはできますか?
A. 会社の制度や契約内容によって異なるため一律には言えませんが、無期転換ルールや社内登用の制度を通じて正社員になる道が用意されている場合があります。契約前に確認しておくと、その後の見通しを立てやすくなります。
Q. 契約社員は正社員よりも待遇が低いのでしょうか?
A. 一律には言えません。待遇は契約内容や企業ごとの制度によって異なり、契約社員と正社員という区分だけで優劣が決まるわけではないとされます。
Q. 契約を更新してもらえるかどうかは、どう判断すればよいですか?
A. 個別の事情によるため一律には言えませんが、契約更新の基準や過去の更新実績について、契約を結ぶ前に確認しておくことが挙げられます。
執筆者情報
本記事は、選択コラム(複数の選択肢を比較して決めたい読者に向けた記事)の執筆方針に基づき、断定的な結論や効果の保証を避け、読者自身が判断基準を持てるようになることを目的として執筆しています。特定の企業・制度を推奨するものではなく、実在の監修者は現時点でいないため、執筆方針の明記のみを行っています。また、個人の体験談を結論の断定材料として用いていません。契約期間・待遇・異動の有無は企業ごとの制度によって異なるため、具体的な検討にあたっては応募先企業へご確認ください。

