異動と転職、どっちを選ぶ?3つの基準で切り分ける

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今の職場に不満があるとき、選べる道は「社内で動く(異動を願い出る・役割や担当を交渉する)」と「社外へ動く(転職する)」の2つです。結論から言うと、どちらを選ぶかは好みや勇気の問題ではなく、今の不満が「異動で変えられる層」にあるのか、「会社を出ないと変えられない層」にあるのかで決まります。この記事では、その切り分けを3つの基準で行い、最後に「こういう人は社内・こういう人は社外」という形まで落とし込みます。

「社内で動く」と「社外へ動く」は、そもそも何が違うのか?

2つの選択肢は「どちらが正しいか」ではなく、変えられる範囲と、元に戻せるかどうかが違います。先に違いを一覧にします。

比較の観点 A:社内で動く(異動・役割交渉) B:社外へ動く(転職)
変えられるもの 上司・同僚・担当業務・働く場所 上記に加えて、給与テーブル・評価制度・業界・事業の方向性
変えられないもの 会社の給与テーブル・評価制度・事業そのものの将来性 これまでの職種経験の積み上げ(持ち出す形になる)
結果が出るまでの目安 人事の異動サイクルに依存する(多くは半期・期初のタイミング) 応募から入社までまとまった期間がかかる
元に戻せるか 戻しやすい(希望を取り下げる・時期をずらす選択が残る) 原則として戻せない
失うもの ほとんどない(希望が通らない可能性はある) 社内で築いた関係・勤続年数に紐づく社内制度

表を見ると分かる通り、Aは「変えられる範囲は狭いが、失敗しても戻れる」選択肢、Bは「変えられる範囲は広いが、戻れない」選択肢です。したがって比較すべきなのは「どちらが良い会社か」ではなく、自分の不満が、Aの狭い範囲で届く場所にあるかどうかです。

異動と転職、どちらを選ぶかを決める3つの基準

次の3つを順番に確認すると、AとBのどちらに寄るかが判定できます。1つずつ、紙かメモアプリに書き出してみてください。

基準1:不満の発生源は、どの層にあるか

不満の中心が「特定の上司」「今の担当業務」「働く場所や時間」であればA(異動で変わる層)です。「給与テーブルそのもの」「評価制度の設計」「会社が向かっている事業の方向性」であればB(社内のどこへ動いても同じ層)です。ここが最も判定力の高い基準です。

基準2:社内でまだ試していない手段が残っているか

異動希望の提出、上司への相談、担当範囲の交渉、社内公募への応募のうち、まだ試していないものがあればAが先です。すべて試して結果が変わらなかったのであれば、Aで打てる手は尽きており、判定はBへ寄ります。

基準3:その状態が、どれくらい続いているか

入社・異動から日が浅く1年未満であれば、環境への慣れと区別がつかないためAで様子を見る余地があります。1年以上、状況が変わらないまま続いているのであれば、時間で解決する種類の不満ではない可能性が高く、判定はBへ寄ります。

3つの基準を当てはめると、どちらが向いているか

社内で動く(A)が向いているのは、次のような場合です。

  • 不満の中心が「人」または「今の担当業務」にあり、部署が変われば相手も仕事も変わる
  • 異動希望・上司への相談・社内公募のうち、まだ試していない手段が残っている
  • その状態が続いてまだ1年未満で、慣れによって変わる余地が残っている
  • 会社の事業内容や評価制度そのものには、不満を感じていない

社外へ動く(B)が向いているのは、次のような場合です。

  • 不満の中心が給与テーブル・評価制度・事業の方向性にあり、部署が変わっても同じ条件が続く
  • 異動希望を出す、相談する、といった社内の手段をすでに使い切っている
  • 同じ状態が1年以上、変化しないまま続いている
  • 「この会社で数年後の自分」を想像したときに、担当する仕事ではなく会社の側に不安が向く
基準1:不満の発生源はどの層にあるか上司・担当業務・場所給与・評価・事業の方向性基準2:社内で未実施の手段が残っているか残っている使い切った基準3:その状態が1年以上続いているか1年未満1年以上A:異動から試すB:転職を選ぶB:転職を選ぶB:転職を選ぶ
3つの基準による判定の順序。基準1・基準2・基準3の順に確認する。

基準が割れた場合(例:基準1はA、基準2と3はB)は、Aから試すことをおすすめします。 AはBの前段として実行でき、Aを試した結果は基準2の判定材料に変わりますが、Bを先に選ぶとAの選択肢は消えます。順番として戻れるほうを先に置く、というだけの理由です。

決める前に、順番として先にやっておくこと

  • 3つの基準について、今の不満がAとBのどちらに当たるかを書き出す。頭の中だけで比べると、実在する今の職場と、まだ存在しない転職先の理想像を比べることになり、比較が公平になりません
  • Aを試すと決めた場合は、いつまで試すかの期限を先に決めておく。期限がないまま社内で動き続けると、基準3(続いている期間)だけが伸びていきます
  • その期限が来ても状況が変わらなかったときに、改めて3つの基準で判定し直す。判定はやり直せるものとして扱って構いません

よくある質問

Q. 異動希望を出したことが、後々の評価で不利になりませんか?

A. 制度としての扱いは会社ごとに異なるため、一律に「不利にならない」とは言えません。自社の異動希望・社内公募の制度が就業規則や社内規程にどう書かれているかを先に確認することをおすすめします。制度として用意されている手段であれば、それを使うこと自体は想定された行動です。

Q. 3つの基準がAとBに割れました。どちらを取ればいいですか?

A. 本文で触れた通り、Aから試すことをおすすめします。理由は「Aが優れているから」ではなく、AはBの前に実行できてBはAの前に実行できない、という順序の問題です。ただし基準1(不満の発生源)が明確にB側、つまり給与テーブルや評価制度そのものにある場合は、Aを試しても同じ条件が続くため、Aに時間をかける意味は小さくなります。

Q. Aを選ぶ場合でも、転職活動を始めてよいのでしょうか?

A. 求人を見る・話を聞くといった行動は、まだどちらかを選び取る行為ではなく、基準1で使う判断材料(社外では給与や評価がどうなっているか)を集める行動です。情報を集めることと、決めることは別のものとして分けて考えると、AとBのどちらを選ぶ場合でも判断材料が増えます。

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執筆者情報

本記事は、選択コラム(複数の選択肢を比較して決めたい読者に向けた記事)の執筆方針に基づき、断定的な結論や効果の保証を避け、読者自身が判断基準を持てるようになることを目的として執筆しています。実在の監修者は現時点でいないため、執筆方針の明記のみを行っています。また、個人の体験談を結論の断定材料として用いていません。

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