年金の繰り上げ受給と繰り下げ受給、どちらを選ぶ?判断を分ける3つの基準

円形のタイムライン台座に積み上がるディスクを配した抽象パステルイラスト お金

年金の繰り上げ受給・繰り下げ受給は受給額が変わり、生活資金の計画をもとに選びます。

特定の金融機関・サービスの推奨を行うものではありません。生涯の受取総額は受給開始から亡くなるまでの期間により変わるため、本記事は年金受給に関する個別の助言を行うものではありません。

公的年金(老齢年金)は原則65歳から受給が始まりますが、60歳から64歳の間に受給を開始する「繰り上げ受給」、66歳以降に受給を開始する「繰り下げ受給」を選ぶこともできるとされています。どちらを選ぶべきか、あるいは原則の65歳のままでよいのかで迷う人がいます。この記事では繰り上げ・繰り下げの違いを客観情報で整理し、判断を分ける3つの基準で切り分けます。なお、具体的な受給額の試算や個別のライフプランに応じた判断は扱っていません。制度の内容は法改正等により変わる場合があるため、具体的な内容は日本年金機構等の最新の案内でご確認ください。

「繰り上げ受給」と「繰り下げ受給」は、そもそも何が違うのか?

2つの違いは「どちらが得か」ではなく、受給を開始するタイミングと、それに伴う受給額の増減です。

受給開始時期と受給額の違い

繰り上げ受給は60歳から64歳の間に受給を開始でき、1か月早めるごとに受給額が一定割合で減額され、その減額率は生涯続くとされています。繰り下げ受給は66歳以降に受給を開始でき、1か月遅らせるごとに受給額が一定割合で増額され、その増額率も生涯続くとされています。早く受け取り始めて月々の額を減らすか、遅く受け取り始めて月々の額を増やすかが分かれ目になります。

一度選んだ後の扱いの違い

繰り上げ受給・繰り下げ受給のいずれも、受給を開始した後は原則として取り消しや変更ができない仕組みとされています。決定前に十分に検討する必要があるという点は共通していますが、早く決定を迫られるか、65歳以降も判断を待てるかという時間的な余裕の違いがあります。

比較の観点 A:繰り上げ受給 B:繰り下げ受給
受給開始時期 60歳〜64歳 66歳以降(上限あり)
月々の受給額 減額され、生涯続く 増額され、生涯続く
決定の変更 原則不可 原則不可
向いている考え方(例) 早い時期から生活資金を確保したい 月々の受給額を増やしたい、他の収入がある

表のとおり、Aは「早く受け取り始める代わりに月々の額を減らす」選択、Bは「受け取り始めを遅らせる代わりに月々の額を増やす」選択です。比較すべきなのはどちらが得かではなく、自分の生活資金の計画にどちらが合うかです。

どちらを選ぶかを判断する3つの基準

基準1:60歳から65歳までの生活資金をどう確保するか

最も判定力の高い基準です。60歳以降の収入(就労収入・退職金・貯蓄等)で生活資金を確保できる場合は、原則の65歳や繰り下げ受給も選択肢になりやすいとされています。収入が不足する見込みがある場合は、繰り上げ受給が検討対象になりやすいとされています。

基準2:65歳以降も就労収入等、他の収入があるか

65歳以降も就労収入等がある場合、年金の受給を遅らせても生活資金に支障が出にくいとされ、繰り下げ受給による増額を検討しやすくなります。他の収入がない場合は、原則の65歳からの受給、または繰り上げ受給が現実的な選択になる場合があります。

基準3:減額・増額が生涯続くことをどう受け止めるか

繰り上げ受給の減額・繰り下げ受給の増額は、いずれも生涯にわたって続くとされています。一度決定すると変更できない仕組みであるため、目先の資金状況だけでなく、長期的な生活資金の見通しを踏まえて検討する必要があるとされています。

3つの基準で見る、繰り上げが向く場合・繰り下げが向く場合

繰り上げ受給が検討対象になりやすいのは、次のような場合です

  • 60歳以降、就労収入や貯蓄だけでは生活資金が不足する見込みがある
  • 早い時期から年金を生活資金の柱にしたい
  • 減額が生涯続くことを理解し受け入れられる

繰り下げ受給が検討対象になりやすいのは、次のような場合です

  • 65歳以降も就労収入等、年金以外の収入がある
  • 月々の受給額を増やしておきたい
  • 66歳以降も判断を待てる資金的な余裕がある

どちらか迷った場合の決め方

迷った場合は、基準1(60歳から65歳までの生活資金をどう確保するか)を先に確認することをおすすめします。 この期間の資金計画が立てられるかどうかで、繰り上げを急ぐ必要があるか、繰り下げまで判断を待てるかの方向性が見えてきます。具体的な受給額の試算は、日本年金機構のねんきんネット等でご確認ください。

選ぶ前に、先にやっておくこと

  • 「ねんきんネット」等で繰り上げ・繰り下げ別の受給額の見込みを確認する(本記事の情報は公開時点のものです)
  • 60歳から65歳までの生活資金の確保方法(就労・貯蓄・退職金等)を整理する
  • 65歳以降の就労予定や他の収入の見込みを確認する
  • 決定後は原則変更できないことを踏まえ、不明な点は日本年金機構に確認する

よくある質問

Q. 繰り上げ受給を選んだ後に、繰り下げ受給に変更できますか?

A. 繰り上げ受給を開始した後は、原則として変更や取り消しができない仕組みとされています。決定前に十分に検討する必要があります。

Q. 繰り下げ受給は何歳まで遅らせられますか?

A. 繰り下げ受給には上限年齢が設けられているとされています。具体的な年齢・増額率は日本年金機構の最新の案内でご確認ください。

Q. 働きながら年金を受け取ることはできますか?

A. 就労状況や収入額によって年金の一部が支給停止になる場合があるとされています。本記事は繰り上げ・繰り下げの基準の整理のみを扱っており、具体的な扱いは日本年金機構の最新の案内でご確認ください。

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執筆者情報

本記事は、お金カテゴリ(お金に関する意思決定を扱う記事)の執筆方針に基づき、断定的な結論や特定の金融機関・サービスの推奨を避け、読者自身が判断基準を持てるようになることを目的として執筆しています。特定の事業者・商品を推奨するものではなく、個別の受給額の算出や受給開始時期の助言を行うものでもありません。実在の監修者は現時点でいないため、執筆方針の明記のみを行っています。また、個人の体験談を結論の断定材料として用いていません。制度の内容は法改正等により変わる場合があり、適用の可否は個々の状況によって異なります。具体的な検討にあたっては、日本年金機構の最新の案内をご確認いただくか、ファイナンシャルプランナー等の専門家へご相談ください。本記事に広告(PR)リンクは含まれていません。

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