仕事にやりがいがないと感じるとき、探し直す前に切り分けたい4つの型

仕事にやりがいがないと感じたときに整理しておきたい視点 アイキャッチ画像 整理

仕事にやりがいがないと感じるとき、多くの人は「やりがいのある仕事」を外に探し始めます。ただ、「やりがいがない」という一つの言葉の中には、性質の違う4つの状態が混ざっています。もともと期待していなかった場合と、以前はあったのに失われた場合とでは、次に打つ手はほとんど逆になります。仕事を探し直すより先に、自分がいつからそう感じているかを特定するところから始めます。

なぜ「やりがいがない」は、原因を一つに絞れないのか?

「最初からない」と「あったものが減った」が、同じ言葉で語られるから

  • 「やりがいがない」は状態を指す言葉であって、経過を含みません。そのため、入社時から一度も感じたことがない人と、3年前までは感じていた人が、まったく同じ一文で自分の状況を説明することになります。
  • この2つは、必要な対処が正反対です。前者は「何に対して手応えを感じる人なのか」がまだ特定できていない状態で、後者は「以前あったものが、いつ・何によって失われたか」という変化の原因が特定できていない状態です。前者に必要なのは試すことで、後者に必要なのは遡って調べることです。
  • 順番を間違えると回り道になります。後者の人が「試す」から始めると、失われた原因が転職先にも持ち越されている場合、同じ状態が再現されます。先に型を確かめるだけで、この反復は避けられます。

感じ方の変化は連続的で、「いつ変わったか」の記憶が残りにくいから

  • やりがいは、ある日を境に失われるのではなく、数か月かけて少しずつ下がることが多いものです。変化がなだらかなほど、境目の記憶は残りません。その結果、「ずっと前から、なんとなくこうだった気がする」という形に記憶が均されていきます。
  • 記憶が均されると、本来は「2年前の異動から」という具体的な原因があった場合でも、「自分は元々そういう性格だから」という性格の問題へ結論がすり替わりやすくなります。これは原因の特定を打ち切ってしまう、もっとも多い行き止まりです。
  • 対策は、記憶ではなく記録を見ることです。手帳・写真フォルダ・給与明細・座席表など、日付が入った客観的な記録をたどると、感覚の記憶よりはるかに正確に変化の時期を特定できます。

いまの「やりがいのなさ」は、どちら側のサインか?(セルフチェック)

次の項目のうち、当てはまるものを数えてみてください。生年月日や星座のような外部の情報は使いません。自分で観察できる事実だけを見ます。

A群(以前はあったものが失われているサイン)

  • 「前の部署のときは」「あの案件のときは」と、具体的に思い出せる時期がある
  • 同じ会社・同じ職種でも、時期によって仕事の感じ方がはっきり違っていた
  • 担当・上司・勤務地・働き方のいずれかが、この2年以内に変わった
  • 仕事以外の場面(趣味・家事・学習)では、いまも手応えを感じることがある

B群(そもそも期待の置き場所が仕事側にないサイン)

  • これまでのどの仕事でも、やりがいを感じた記憶が思い当たらない
  • 仕事は生活費を得る手段だと考えており、それ自体に不満はない
  • 「やりがいを持つべきだ」と言われることのほうが、負担に感じる
  • 仕事以外の時間の充実度は、ここ数年で下がっていない
結果 読み取り方 先に手をつけるところ
A群が多い 環境の変化によって、あったものが失われている状態 新しい仕事を探すことより、変化が起きた時期と出来事を特定することが先
B群が多い 仕事以外に重心があり、不足そのものが存在していない可能性 やりがいを作ることより、「なくて困っている実害」が実際にあるかを確かめる
両方が多い 失われた分を、仕事以外で埋めている移行途中の状態 A群の時期特定を先に行い、そのうえで重心の置き方を決める
どちらも少ない 一時的な疲労や繁忙が、感じ方を下げている可能性 判断を保留し、休みを取った後で同じ項目をもう一度数える

なお、この項目は自分の状態を整理するためのものであり、心理的・医学的な診断ではありません。睡眠・食事・仕事や家事といった日常の機能に支障が出ている状態が続く場合は、医療機関や公的な相談窓口など専門的な支援もあわせてご検討ください。

4つの型と、それぞれ先に手をつける場所

セルフチェックで大まかな方向がつかめたら、次はもう一段細かく分けます。「いつから、何をきっかけに感じなくなったか」という時間軸で見ると、次の4つに分かれます。

型 状態 見分けるための手がかり 先に手をつける場所
型1:もともと期待していない 仕事にやりがいを求めたことがなく、いまも困っていない 過去のどの仕事でも感じた記憶がない 対処そのものが不要。困っている実害の有無だけを確認する
型2:あったものが失われた 特定の時期を境に感じなくなった 異動・昇進・担当替え・上司交代などの日付が特定できる 失われた時期の前後で、何が変わったかを1つずつ並べる
型3:他者比較で相対的に下がった 自分の仕事内容は変わっていないのに、評価だけが下がった 特定の誰か(同期・後輩・SNS上の人物)が思い浮かぶ 比較相手を具体名で書き出し、比較している項目を1つに絞る
型4:重心が仕事以外へ移った 育児・介護・学習・趣味など、仕事の外に主軸が移った この1〜2年で生活時間の配分が大きく変わった 時間配分を実測し、仕事に求める役割を下げてよいか判断する

型1と型2を分ける——「感じなくなった時期」を1か月単位で特定する

カレンダーや写真フォルダをさかのぼり、「この月までは、まだ普通に働けていた」と言える最後の月を1つだけ決めます。正確さは要りません。特定できれば型2、どこまでさかのぼっても見つからなければ型1です。型2だった場合は、その月の前後3か月に起きた出来事——担当の変更、上司の交代、繁忙期、人員の増減——を箇条書きで並べます。この作業の目的は原因を当てることではなく、候補を5個以内に絞って、検証できる数にすることです。頭の中だけで考えると候補が無限に増え、いつまでも絞り込めません。

型3を見分ける——比較している相手が具体的に誰かを書き出す

「まわりはもっと充実している気がする」という感覚が強い場合、その「まわり」が実際には2〜3人の具体的な人物を指していることがほとんどです。紙に名前(イニシャルでも構いません)を書き出し、その人の何と自分の何を比べているのかを1行で書きます。ここで多いのは、相手の見えている部分(役職・年収・発信内容)と、自分の見えていない部分(日々の実務の手応え)という、そもそも並べられない2つを比べている状態です。比較の項目を同じものに揃え直すだけで、評価が変わることがあります。揃え直しても評価が変わらない場合は、比較ではなく実際の差が存在するということなので、型2の手順へ移ります。

型4を見分ける——1週間の時間配分を実測する

直近1週間について、起きている時間を「仕事」「仕事以外で自分が主体的に関わっていること」「その他」の3つに分けて、おおよその時間数を出します。記憶ではなく、カレンダーや実際の退勤時刻をもとに数えてください。仕事以外の主体的な時間が明らかに増えている場合、やりがいが仕事から消えたのではなく、置き場所が移っただけという読み方ができます。この型では、仕事側を変えようとすると負荷だけが増えます。判断すべきなのは「仕事に求める役割を、収入と安定に絞ってよいか」という一点です。絞ってよいと判断できるなら、この問題はここで終わります。

具体的な次の一歩

  • 今日:上のセルフチェックでA群・B群それぞれ何個当てはまったかを数え、日付とともにメモに残します。後で見返すために、数と日付の両方が必要です。
  • 今日:転職サイトへの登録や求人の閲覧は、まだ行いません。型が決まる前に求人を見ると、型1・型3・型4のいずれであっても「いまより良さそうな環境」が必ず見つかり、型の判定そのものができなくなります。
  • 今週中:型2の可能性がある場合は、「まだ普通に働けていた最後の月」を1つ決め、その前後3か月の出来事を5個以内で書き出します。
  • これから2週間:型が決まってから、その型の欄にある「先に手をつける場所」だけを実行します。2週間後に同じセルフチェックを再実施し、数が動いたかどうかを確認します。

よくある質問

Q. やりがいがない状態のまま働き続けるのは、良くないことでしょうか。
A. 型によって答えが変わります。型1・型4のように、仕事以外に重心があって生活が成り立っている場合、やりがいの不在それ自体は解決すべき問題ではありません。一方で型2・型3のように、以前との差や他者との差が負担として意識され続けている場合は、その差の正体を特定しないかぎり同じ負担が続きます。「良くないかどうか」ではなく、「実際に困っていることが何かあるか」で判断するほうが、答えを出しやすくなります。

Q. 転職すれば解決しますか。
A. 型2で、失われた原因が職場側の変化(担当・上司・体制)にはっきり特定できている場合は、環境を変えることが有効に働きやすくなります。ただし原因を特定しないまま転職すると、型3(比較)や型4(重心の移動)が理由だった場合、新しい職場でも同じ状態が再現されます。順番としては、本文の型の特定を終えてから転職の検討に入るほうが、判断の材料が揃います。

Q. 「やりがいを持て」と言われるのが、そもそも負担です。
A. その感覚自体が、型1に当てはまるかどうかの有力な手がかりになります。仕事に手応えを求めるかどうかは人によって異なり、求めないこと自体が問題というわけではありません。負担の正体が「やりがいがないこと」ではなく「やりがいを持つべきだと外から言われること」である場合、整理すべき対象は仕事の中身ではなく、その要求との距離の取り方のほうになります。


あわせて読みたい

今の仕事になんとなくモヤモヤする理由がわからないときに、整理しておきたい3つの視点 — 本記事は「やりがいがない」と症状をすでに言葉にできている方向けです。原因が特定できず漠然とした状態が続いていて、何が引っかかっているのかをまだ言葉にできていない段階の方は、こちらの記事が入口になります。


執筆者情報

本記事は、働き方や人間関係の悩みをテーマに、断定的な効果を保証する表現を避け、読者が自分の状況を整理するための視点提供を目的として執筆しています。本文のセルフチェックは、読者が自分で観察できる事実を数えるための整理用の項目であり、心理的・医学的な診断を行うものではありません。

タイトルとURLをコピーしました