在職中と退職後、どっちで転職活動する?3つの基準で切り分ける

転職活動は在職中と退職後どちらが良いか アイキャッチ画像(クリーム背景に水彩風アイコン) 選択

転職しようと決めたあと、次に決めることになるのが「働きながら探すか、辞めてから探すか」です。選べる道は「在職中に活動する」と「退職してから活動する」の2つですが、結論から言うと、どちらを選ぶかは根性や覚悟の問題ではなく、生活費の持ち時間と、転職先に求める条件の絞り込み具合で決まります。この記事では、その2つを含む3つの基準で切り分け、最後に「こういう人は在職中・こういう人は退職後」という形まで落とし込みます。

「在職中に活動する」と「退職してから活動する」は、そもそも何が違うのか?

この2つは「どちらが正しいか」ではなく、使える時間と、断る力のどちらを取るかが違います。先に違いを一覧にします。

比較の観点 A:在職中に活動する B:退職してから活動する
活動に使える時間 平日夜・休日・有給に限られる 平日日中を含めて自由に使える
収入 途切れない 途切れる(失業給付は要件・待期の有無により受給時期が異なります)
条件を妥協せずに断れるか 断りやすい(今の職を失わないため) 時間の経過とともに断りにくくなりやすい
入社時期の調整 引き継ぎ・退職手続きの分だけ後ろにずれる 先方の希望時期に合わせやすい
やり直せるか やり直せる(活動を止めても現状に戻るだけ) 原則として戻せない
説明が必要になる点 特になし 離職期間について聞かれることがある

表を見ると分かる通り、Aは「時間は足りないが、条件を妥協せずに断れる」選択肢、Bは「時間は十分にあるが、時間の経過とともに断りにくくなる」選択肢です。したがって比較すべきなのは「どちらが有利な立場か」ではなく、自分にとって不足しているのが時間なのか、それとも断る余裕なのかです。

在職中と退職後、どちらを選ぶかを決める3つの基準

次の3つを順番に確認すると、AとBのどちらに寄るかが判定できます。特に基準1は実際の金額を書き出してみてください。頭の中の概算では、判定が楽観側にずれやすくなります。

基準1:収入が途切れたとき、何か月分の生活費を持っているか

ここが最も判定力の高い基準です。転職活動にかかる期間は、職種・時期・求める条件によって幅があり、事前に見積もった期間で必ず終わるとは限りません。手元の貯蓄で見込み期間をまかなえない場合、Bを選ぶと基準2で述べる「断れなさ」が高い確度で発生します。まかなえる場合は、BもAと並ぶ選択肢になります。

基準2:転職先に求める条件が、すでに絞り込めているか

「この業界のこの職種で、譲れない条件はこれ」と言い切れる状態であれば、応募先が絞られるため活動は短期で終わりやすく、限られた時間でも回せます。この場合はAが現実的です。逆に「何が向いているのかまだ探している」段階であれば、応募・面談の数そのものが必要になり、平日日中の時間が要ります。この場合はB寄りになります。

基準3:今の職場を続けながら活動する余力が、実際に残っているか

残業時間、休日出勤の頻度、体調をふまえて判断します。書類作成や面談の日程調整に充てる時間が週単位でまったく取れない状態であれば、Aを選んでも活動が進まず、判定はBへ寄ります。ただしこの基準は、基準1を満たしていることが前提になります。

3つの基準で見る、在職中の活動が向いている人・退職後の活動が向いている人

在職中に活動する(A)が向いているのは、次のような場合です。

  • 収入が途切れた場合に生活費をまかなえる期間が短く、経済的な余裕が限られている
  • 応募したい業界・職種・譲れない条件が、すでに言葉にできている
  • 今の職場の勤務状況からみて、書類作成や面談に充てる時間を確保できる余地がある
  • 条件が合わない求人を、迷わず断れる状態を保ちたい

退職してから活動する(B)が向いているのは、次のような場合です。

  • 収入が途切れても生活費をまかなえる期間に余裕があり、期間が延びた場合の想定もできている
  • 職種や業界を変えることを検討しており、まず情報を集める段階から始める必要がある
  • 現職の勤務状況では、活動に充てる時間が実際に確保できない
  • 資格取得や学び直しなど、活動と並行して時間を要する準備を予定している
基準1:生活費を何か月分持っているか十分にある足りない基準2:転職先の条件が絞り込めているか絞り込めている絞り込めていない基準3:在職中に活動する余力が残っているか余力がある余力がないA:在職中に活動するA:在職中に活動するB:退職後に活動するB:退職後に活動する
3つの基準による判定の順序。基準1・基準2・基準3の順に確認する。

基準が割れた場合(例:基準1はA、基準2と3はB)は、Aから始めることをおすすめします。 Aは活動の途中でBへ切り替えられますが、BからAへは戻せません。順番として戻れるほうを先に置く、というだけの理由です。基準3が原因でAが進まないと分かった時点で、改めてBを検討し直せば判断材料は増えています。

在職中か退職後かを決める前に、先にやっておくこと

  • 基準1について、毎月の固定費と手元の資金を実際に書き出し、収入が途切れた場合に何か月もつのかを数字で出す。判定が最も変わりやすいのがこの基準であり、概算のままだと判断がぶれます
  • 基準2について、応募したい条件を3つまで書き出してみる。3つ書けない場合は、まだ絞り込みの段階にあると判断できます
  • Aを選ぶ場合は、いつまでAで続けるかの期限を先に決めておく。期限がないまま在職中の活動を続けると、基準3の余力だけが削られていきます
  • Bを選ぶ場合は、退職前に離職後の公的手続き(健康保険・年金・雇用保険)の要件を確認しておく。制度の要件は個人の状況によって異なるため、居住地の窓口や勤務先の担当部署で確認することをおすすめします

よくある質問

Q. 在職中に活動していることが、今の勤務先に知られてしまいませんか?

A. 取り扱いは勤務先の規程や運用によって異なるため、一律に「知られない」とは言えません。就業規則に副業・兼業や在職中の活動に関する定めがあるかを先に確認しておくと、判断材料が増えます。日程調整を勤務時間外に寄せる、社用の連絡先を使わないといった基本的な線引きは、いずれの場合でも有効です。

Q. 離職期間があると、選考で不利になりますか?

A. 選考の基準は企業ごとに異なるため、一律に不利になるとは言えません。ただし離職期間について説明を求められることはあります。その期間に何をしていたかを説明できる状態にしておくことが、Bを選ぶ場合の準備にあたります。逆に言えば、説明できる予定があるかどうかは基準2の判定材料にもなります。

Q. Aで始めましたが、時間が取れず活動が止まってしまいました。Bに切り替えるべきでしょうか?

A. 切り替えを検討する前に、基準1をもう一度確認することをおすすめします。活動が止まっている原因が時間(基準3)にあるとしても、生活費の見通し(基準1)が変わっていなければ、Bへ切り替えたときに条件を妥協せざるを得ない状況が生まれやすくなります。時間の不足は、有給の使い方や活動範囲の絞り込みで改善できる場合もあるため、先にそちらを試す順番が現実的です。

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執筆者情報

本記事は、選択コラム(複数の選択肢を比較して決めたい読者に向けた記事)の執筆方針に基づき、断定的な結論や効果の保証を避け、読者自身が判断基準を持てるようになることを目的として執筆しています。実在の監修者は現時点でいないため、執筆方針の明記のみを行っています。また、個人の体験談を結論の断定材料として用いていません。公的制度の要件は個人の状況により異なるため、実際の手続きにあたっては所管の窓口でご確認ください。

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