生命保険を検討し始めると、最初に突き当たるのが「終身保険」と「定期保険」という2つの型の違いです。結論から言うと、どちらを選ぶかは家族構成の優劣ではなく、保険金を必要とする期間に終わりがあるかどうかで、おおむね決まる傾向があるとされます。この記事では両者の違いを一覧で整理し、3つの基準で切り分けたうえで、「こういう場合は終身保険・こういう場合は定期保険」という形まで落とし込みます。
「終身保険」と「定期保険」は、そもそも何が違うのか?
2つの選択肢は「どちらが優れた保険か」ではなく、保障が続く長さと、支払ったお金が戻る仕組みを持つかどうかが違います。
保障が続く期間の違い
終身保険は、保険料の払い込みが終わった後も保障そのものは一生涯続く設計です。定期保険は「10年」「60歳まで」といった区切りがあり、その期間を過ぎると保障は終了します。更新できる商品もありますが、更新時の年齢で保険料が計算し直されるため、同じ保険料のまま続くとは限りません。
解約したときに戻るお金があるかどうか
終身保険には解約返戻金が用意されていることが多く、途中でやめた場合に一定額が戻る設計になっています。一方、定期保険は解約返戻金がないか、あってもごく少額の商品が中心です。この差が、同じ保険金額でも保険料に大きな開きが出る主な理由とされています。
| 比較の観点 | A:終身保険 | B:定期保険 |
|---|---|---|
| 保障が続く期間 | 一生涯 | あらかじめ決めた期間まで |
| 同じ保険金額での保険料 | 高くなる傾向 | 低く抑えられる傾向 |
| 解約したときに戻るお金 | 解約返戻金がある商品が中心 | ないか、あってもごく少額 |
| 保険金が支払われない可能性 | 原則として、いつかは支払われる | 期間内に該当しなければ支払われない |
| 見直しのしやすさ | 途中解約は返戻率の影響を受ける | 期間の区切りで見直しやすい |
| 向いている目的の例 | 整理資金・相続対策など、時期を選ばない備え | 子どもの独立まで、住宅ローン完済までの上乗せ |
表のとおり、Aは「保険料は高いが、いつ必要になっても使える」選択肢、Bは「保険料は低いが、必要な期間を自分で区切る」選択肢です。比較すべきなのは「どちらが得か」ではなく、自分の備えたい出来事に終わりの時期があるかどうかです。
終身保険と定期保険、どちらを選ぶかを決める3つの基準
次の3つを順番に確認すると、どちらへ寄るかが判定しやすくなります。紙かメモアプリに書き出しながら進めてみてください。
基準1:保険金を必要とする期間に、終わりがあるか
最も判定力が高い基準です。備えたい出来事が「末子が経済的に独立するまで」「住宅ローンを完済するまで」のように終わりの時期を言えるなら、その期間だけを覆えばよいためB(定期保険)へ寄ります。逆に「葬儀や納骨などの整理資金」「家族に残す資金」のように時期を指定できないものが中心なら、A(終身保険)へ寄ります。
基準2:毎月出せる保険料の上限は、いくらか
同じ保険金額で比べると、終身保険の保険料は定期保険より高くなる傾向があります。必要と感じる保障額を終身保険だけで用意しようとして家計が苦しくなる場合、金額を削るより先に、期間を区切れる部分をBへ振り分けられないかを検討する余地があります。
基準3:貯蓄の役割を、保険に持たせたいか
解約返戻金があることを理由に終身保険を貯蓄の手段として位置づける考え方があります。ただし、早期に解約すると払い込んだ保険料を下回ることが一般的で、返戻率は商品ごとに大きく異なります。貯蓄の役割を保険に持たせたいかどうかは、保険以外の手段と比べたうえで決めるほうが判断材料が増えます。
3つの基準で見る、終身保険が向いている人・定期保険が向いている人
終身保険(A)が向いているのは、次のような場合です
- 備えたい出来事に終わりの時期がなく、いつ起きても使える形にしておきたい
- 整理資金や、家族に確実に残したい資金が目的の中心にある
- 保険料が高くなっても、長期にわたって払い続けられる見通しが立っている
- 途中で解約する可能性が低く、解約返戻金の水準まで確認したうえで納得している
定期保険(B)が向いているのは、次のような場合です
- 子どもの独立や住宅ローンの完済など、保障が必要な期間を年数で言える
- その期間だけは大きな保険金額を確保したいが、保険料は抑えたい
- 収入や家族構成が変わる可能性があり、区切りごとに見直したい
- 貯蓄は保険ではなく、別の手段で用意する方針が決まっている
基準が割れた場合の決め方
3つの基準が割れた場合は、まず基準1の答えに従って最低限の形を決めることをおすすめします。 保険は片方だけを選ばなければならないものではなく、終身保険で時期を選ばない部分を確保し、期間限定で上乗せしたい分を定期保険で足す、という組み合わせも選べます。基準2で保険料が上限を超えるなら、上乗せ部分から見直すほうが、時期を選ばない備えを崩さずに済みます。
終身保険か定期保険かを決める前に、先にやっておくこと
- 公的な遺族年金や、勤務先の弔慰金・団体保険でどこまで賄えるかを先に確認する。制度の内容は加入状況や勤務先ごとに異なるため、一律には言えません。不足額が分からないまま金額を決めると、比較の土台が定まりません
- 必要な保険金額と、必要な期間を分けて書き出す。「いくら」と「いつまで」を同時に考えると、金額だけが先に膨らみやすくなります
- 候補が絞れたら、解約返戻金の推移と更新後の保険料を、実際の商品の設計書やパンフレットで数字として確認する。同じ「終身保険」という名称でも、条件は商品ごとに異なります
よくある質問
Q. 終身保険と定期保険は、両方に入ってもよいのでしょうか?
A. 組み合わせて契約する方法は一般的な選び方の一つとされています。時期を選ばない備えを終身保険で、期間を区切れる上乗せを定期保険で用意する形です。ただし合計の保険料が家計の負担になりやすいため、基準2で決めた上限を先に置いてから配分を考えると整理しやすくなります。
Q. 定期保険の更新時に、保険料はどれくらい上がりますか?
A. 上昇幅は年齢・保険金額・商品によって異なるため、一律の目安を示すことはできません。更新型の商品を検討する場合は、契約時の保険料だけでなく、次の更新後の保険料が設計書に記載されているかを確認することをおすすめします。
Q. 解約返戻金があるなら、終身保険のほうが損をしにくいのでしょうか?
A. 解約する時期によって結果が変わるため、一概には言えません。払い込み期間の途中で解約した場合は、返戻金が払い込んだ保険料の総額を下回ることが多いとされています。返戻率が何年目でどの水準になるかは商品ごとに設計書へ記載されているため、その数字を見てから判断すると比較しやすくなります。
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執筆者情報
本記事は、選択コラム(複数の選択肢を比較して決めたい読者に向けた記事)の執筆方針に基づき、断定的な結論や効果の保証を避け、読者自身が判断基準を持てるようになることを目的として執筆しています。特定の保険会社・保険商品を推奨するものではなく、実在の監修者は現時点でいないため、執筆方針の明記のみを行っています。また、個人の体験談を結論の断定材料として用いていません。保険の契約内容・税務上の取り扱いは商品や個々の状況によって異なるため、具体的な検討にあたっては各保険会社の約款・設計書をご確認ください。

